提言

「結婚後の旧姓使用に関する提言書」

令和3年(2021)人口動態統計によると、令和3年の平均初婚年齢は、男性 31.0 歳、女性 29.5 歳で、女性は前年より上昇しています。女性の初婚年齢のピーク(中央値)は27歳と上昇しており、それ以降の年齢において初婚数は毎年緩やかな増加を続けております。

これに伴い、労働力を発揮して社会生活でキャリアを形成した有形無形の資産を持つ女性の初婚が増えています。

民法では結婚に際して、男性又は女性のいずれか一方が必ず姓を変えなければないとしており、結婚して姓を変える女性は令和2年では全体の約95%を占めており、内閣府 令和3年度 家族の法制に関する世論調査によると、名字・姓を変えた人に何らかの不便・不利益があると思うか30歳から39歳の女性聞いたところ、「何らかの不便・不利益があると思う」と答えた者の割合が71.0%占めています。

このように、現在、女性が結婚で姓が変わる事によりキャリア形成に多大な影響を及ぼしています。また、生命・損害保険会社、証券会社を含む金融機関ならびに動産・不動産の名義変更は煩雑であり、結婚する女性の不便・不利益が生じています。

この状況について国は、身分証明書となるマイナンバーカード、免許証、住民票、印鑑登録証明書、パスポート等で旧姓併記を認めて、旧姓使用による不便・不利益の軽減を目指しています。今後は国と地方行政のデジタル化により結婚後の旧姓を使用する阻害要因が改善されていくでしょう。また、民間企業においても結婚後の旧姓使用の社会的傾向を受け、旧姓使用容認の機運は高まると推測いたします。

一方で、日本労働組合総連合会(連合)の「夫婦別姓と職場の制度に関する調査2022」によると、旧姓使用率は42.3%にとどまり、「認められていない」が11.9%あるなど、企業の旧姓使用が進んでいるとは言い難い状況です。

これは、旧姓使用を認めなければならないという法律がないために、民間企業における旧姓使用の整備ができていないためです。また、現に旧姓使用を導入している企業でも旧姓を利用する項目に違いがあり、根拠となる法律がないために各企業が手探りで導入している状況が推測されます。

上記は、結婚後の旧姓使用を拡充するには、国が結婚後の旧姓使用を認める法律を制定し、国・地方・民間企業のシームレスな連携を実現させる必要がある事を意味しています。

なお、結婚後に旧姓を使用する手段として選択的夫婦別姓制度の導入がありますが、必然的に子どもの姓が異なるという重大な問題があります。私たちは社会生活において結婚による女性の不便・不利益の解消のために旧姓使用を求めているのであり、家族という基礎的な集団単位の呼称である姓を夫婦と子どもとで異なる状況が起きることは承服しかねます。

内閣府が令和3年に行った「婚姻による名字・姓の変更に対する意識」の調査では、「名字・姓が変わったことで、新たな人生が始まるような喜びを感じると思う」が54.1%、「相手と一体となったような喜びを感じると思う」が39.7%と、夫婦同姓を支持する意見が「名字・姓が変わったことに違和感を持つと思う25.6%を大きく上回っています。政府ならびに関係省庁におかれましては、この世論調査の結果について十分に考慮をいただきますようお願いいたします。

私たち女性が妻として母として、そして社会人として真の力を発揮する事は、家族の安定となり、子どもの将来にとっても利益をもたらします。私たち、そしてこれから結婚をする女性が結婚に際し発生している不便・不利益のために、私たちは国に以下を求めます。

1 すみやかに結婚後の旧姓使用を可能とする法律の制定を求めます。
2 法令に基づく各種名義変更において旧姓使用を求めます。
3 政府は、国民ならび企業に対し、結婚後の旧姓使用について周知・普及を行うよう求めます。

令和5年 3月21日
結婚後の旧姓使用をすすめる会
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